インド人に「ジャパーニー(日本人)?」と聞かれることはもちろんあるけれど、「ネパーリー?」あるいは「マニプーリー?」と聞かれることがある。隣国ネパールとはヒンドゥ教基盤の同一文化圏にあることから、インド・ネパール間はノービザ・パスポートで行き来でき、就業も自由であるという。マニプルは、ミャンマーと国境を接するインド北東端の州。チベット、ビルマ系の住民が多く、顔立ちは(これまた偏見だけど)インド人ぽくないし、こういうことでインドが他民族国家であることを実感する。
さて、買い物中に「マニプーリー?」と聞かれたわたし。日本人だ、なんだかんだと雑談しながら店内を物色していたのだが、店員がなぜだかやけに馴れ馴れしいのに気づいた。抱えている子どもに興味あるふりしてわたしのからだに触れようとしたので、出された水を突き返して「ふざけんな」とそのフロアを離れた。…にも関わらず上階までついてきて、意味不明なアピールを繰り返し、挙げ句の果てには配達依頼した本棚をそいつが我が家まで運んできやがったのだ(1時間程度で配達されたのは彼の気まぐれか)。水のおかわりを要求したそいつは、飲みながらわたしに向って前進する(必然的にわたしは後ずさりする)。まるで意味不明だ。一気に飲み干されたグラスをひったくり、さっさと帰れ、と今度はわたしがそいつに前進してドアまで追いつめたのだが、なにをトチ狂ったかそいつはわたしの手をとり口にふくもうとしたのだ…バカか!そいつはわたしにキス及びハグなどを要求し、一回ならいいだろ!とかほざいていた…いつの時代の生き物だおまえは!さすがに気色悪く腹もたったので「気持ち悪っ!(マツコ・デラックス風に)」と声をあげて追い出したが、わたしの嫌悪の理由なんかはちっともそいつには伝わらないまま、彼はひょっとしたら同じことを別の女性にするのかもしれない。
先日のhindustan timesで、マニプルなど北東地域出身の女子大生に対する性的差別問題が取り上げられていた。大学進学でデリーにやってきた彼女たちを守るための活動などが紹介されていたのだが、どうやら多くのインド人男性は、アジア系女性は性的に開放的、という完全に間違ったイメージを持っているようで、学生だけでなく多くの女性が差別に傷つき苦しんでいるという。次元は違うけれど、わたしが受けたセクハラを思い出し、外国人であることもこの対象となり得ると実感した。
それにしてもインドの無印的ショップのあの店員、彼にもいつか愛するひとができるだろう。ひょっとしたらかわいい女の子のお父さんになるかもしれん。大事なひとが男性から同じような扱いを受けたら、どう思ってどうじぶんの中の一部分と対峙するんだろう?そんなことは一生ないのかもしれない。もしそうなら、少々気の毒なひとだなあと思った。