インドほどアイスクリームのおいしい国はないんじゃないかと思っている。そして、、インドのベスト・オブ・アイスクリーム、クリームベルのマンゴーアイス、サッチムッチ。わたしの未だフレッシュなマンゴー偏愛は抜きにしても、このアイスクリームはほんとーーうにうまい。
そんな安くておいしいアイスクリームがたくさんあるインド、実は生乳生産量世界一なのだ。恥ずかしながら今の今まで知らなかった・・・。見回せばほら、ラッシーにチーズ、パニールに、ギー(精製バター油)、チャイなどなど乳製品がわんさかある。
下の写真は、マザーデイリー(mother dairy)のミルクスタンドの様子。朝と夕方だけ開店していて、みんなミルクポット持参でミルクを買う。
マザーデイリーは、1974年の食糧計画下で設立された、国営の会社(national dairy develpoment boad)。乳製品はもとより、野菜・果物なども扱っており、生産者の育成・支援、市場の安定・活性化を目的としているようだ。単純に人口数のはなしかもしれないが、生乳生産世界一とはいってもいくつか問題があって、まず生産者が常に未だに個人、零細経営で貧しいことと、飼育数のわりに一頭あたりの生産量が先進国のそれの6分の1であること。そして衛生的に不安定な環境にあるということ。先日も、マザーデイリーなどのブランド乳の衛生管理状態に問題がある、といった調査結果が報道されていた。インドの農村地帯の窮状を想像しつつ、システマティックな生産管理・環境整備の同時進行の難しさを思った。衛生的、といえば、こちらのミルクは一度煮沸してから使うのだ。冷たいミルクをぐびぐび飲む!のじゃなくて、チャイを作るためのミルクだから、初めは勝手が違って少し戸惑ったりもした。もちろん煮沸不要のパック入りミルクも買えるけど、高価だしなんてったって180日保存可能なものだから、逆に飲む気が萎えてしまいます・・・。いったい何入れてるの・・・。
こちらは、日本的なミルク、TRU MILK。購入場所が限られているので、不便。偶然ディフェンスコロニーマーケットに取扱店があったから買えたものの、そこまでして買わなくてもいいな、というのが正直な感想。
チャイは煮沸ミルク、普段はコーヒーにミルクを入れるだけなんだから、そんなにこだわりがあるわけでもないし。それにシェア6割強というマザーデイリーのスタンドに並ぶ、というのもなかなかおもしろくて良い。といっても、バニラアイス、バタースコッチアイス、ミスティードーイ(これまた絶品!!)を買うために並んでいたら、物乞いの家族に取り囲まれてしまってとても困ったのだった。いつもはおせっかいなくらい関わってくるインド人、このときばかりは誰一人として助けてくれるひとはなかった。お金ちょうだい〜、ごはん食べたい〜と言われ続けて、申し訳ないけどそっとその場から逃げてしまった。涼しくなったからなのかな、それともただじぶんの外出頻度が増えただけなのかな、最近は物乞いに会うことが多くなった…彼らも稼ぎ時なのだろうか。
デリー政府は、一日32ルピーで生活するところを貧困ラインとしたらしい。わたしが欲しかったバタースコッチアイスクリームは20ルピー。どうしてその20ルピーくらいあげられない?どうして貧しいのにこどもなんて産む?どうして生きなきゃいけないの?帰路、なんとなくサイクルリキシャに乗れなかった。いつもは10ルピーで乗って帰る。でもその日、もし50ルピー不誠実に請求されても、断る気力がなかったから。